【3.山暮らし・ペットたち】

3.山暮らし・ペットたち
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俺は 子供たちを
昔飼っていたペットみたいに
育てていた。
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  ……
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動物記★「ペット」  2007/10/22
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 ……
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元妻K子サンと同居して次の年(1978年)
宮城県沖地震があった。

6月は宮城県にとっては、宮城県沖地震38年、岩手・宮城内陸地震8年の月 -
いまちず!■ http://blog.imachizu.com/entry/2016/06/15/210000
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埼玉県入間市の借家に居た俺でさえ…ビックリして
外を見たら 電線が大きくゆれていて.
ヤバイと思うほどだった。
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そのあとニュースなどで
仙台の実家の辺りの被害が大きかったことを知った。
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電話すると実家は45度近く傾いたが…倒れなかった。…とのこと。
しかし 被害は大きく…
県内あちこちに大きな被害があったこと 死者も出たことが報じられた。.
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K子さんと俺が 山に引っ越そうと
本気で準備を始めたのは
この地震も 大きなキッカケのひとつ.
だったと思う。
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ちょうど そのころ…
このまま東京に 住みつづけて居て いいのだろうか?
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俺は どこで どんなふうに
生きていきたいのだろうか?
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…と 本気で そんなことを考え始めるようになっていたのだ。
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11月に入籍し
双方の両親の意向で
4月に なんとなく結婚式を挙げ
そのあと 確か
・・・
免許を取りに
山梨県富士吉田の
合宿に行っていたとき
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真剣に.自分の考えを
日記の中で書いて整理していこうと
書き始めていたところだった。
・・・
その頃からふたりで
山に住もうと話し合ったのだろうと思う。
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1978 宮城県沖地震
1979 
1980 仙台に引越し。秋保に土地を購入。
1981 自宅の建設計画開始 長男Y誕生。
1982 自宅の建築 秋保に引越し。
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…こんな感じだった。
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長男の妊娠出産も
計画的なものではなかった(笑)
いま思えば
綱渡り 泥縄的だった。
・・・
単に ラッキーだっただけなのかも知れないとも思う。
でも 結果よければOKだっちゃ♪
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 ……
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今日YMに確認してみたら…
YMが「ちゃとら」を拾ってきたのは.
クロが死んだ後ではなかった らしい。
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… トラ(寅)の失踪 …
(たぶん 野良猫たちとの♂同士の縄張り争いに負けたのだと思う)
…のあと
だったということだ♪
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アル中の記憶は…あてにならない…(苦笑) m(_ _)m
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つまり うちのペットたちの歴史は….
順番に思い出してみると
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Y(人) ふむ(犬)・くろべぇ(猫) つっつき夫婦(鶏)
チャボ 鶏30羽 
小桜インコさん 青インコ夫婦 シマリス君 梵天十姉妹夫妻
セキセイインコ君 M(人) YM(人) レディ・ポチ(犬)
ラビッツ(兎) ロッコ(鶏) バクロ(烏骨鶏)
トラ(猫) チュン(雀) ちゃとら(猫)
クロ(兎) クロ(猫) ジョン(犬) チュンⅡ(雀) クロx2(兎)…
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他にも いたような気もするが
大体こんなカンジ???
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あんまり安易には言えないけど…
やっぱり生き物は 面白い。
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俺は 生き物とのふれあいの中で
子供たちを育てたいと思っていた。
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 ……
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酒に 溺れ始める
10年前ごろまでは…
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いつも 生き物が うちに
うろうろしていた。
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それに 家は山中の一軒家なのだから
動物たちの生活圏の中に 俺たちが住み着いたような訳だから 野性動物との関わりは 当たり前のようにあった。
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  ……
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あるとき 鳥小屋の網が破られて
30羽ほど居たニワトリが
ほとんど全滅までに キツネにやられる大事件が起きた。
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そのときは さすがの俺も ガックリくるやら 自分の不手際に腹が立つやらで イラついて…
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まだ4歳ぐらいだった
長男のYに
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「 …罠を買って来て
    とっ捕まえてやろう!…」
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…と 言ったことがあった。
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すると… 彼は 少し考え込んだ後に…
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落ち着いて こう 言ったのだ。
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「 トーちゃん キツネには
  キツネの
  暮らしが あるんだよ! 」
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あの時は 心底 子供とは ときに…
恐ろしいほど 冷静で
正しい生き物…だな と思えた。
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  ……
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【2.初夏 リスとカラス 】

2.【 初夏 リスとカラス 】
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 【 2.リスとカラス 】
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( 日記…2011/05/11 21:17 )
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今日は アトリエ前の 花壇作り。
一息入れて お茶していたら…
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目の前の杉の木に 可愛いらしい リスのカップルが 木の幹に張り付いて
裏に回ったり 表に来たり…と 追いかけっこ! …をして はしゃぎ回っている。
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まるで あのディズニーアニメのチップとデールを見てるみたいだ (笑)。
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…というより 季節は…森の5月。
あの ディズニー映画「 バンビ 」が描き出す
■【 森の …恋の季節… 】
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…まさに 【 森の…うかれ頭の季節 】(笑)
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…だ というわけだ (笑)。
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 ……
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それにしても リスたちは樹の幹の周りを まるで平らな地面を走るみたいに走り廻って追い駆けっこをしている。たぶん 身軽なのと…その割に強力な爪やら握力を使ってるのだろうとは思うが  それにしても見事な樹上生活者だ…(笑)。
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…などと感心しながら カップルのいちゃつく姿を 微笑ましく眺めていたのだが… その時
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ずうっと向こうの電柱に止まっていた鴉が パッと飛び立って
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真っ直ぐにコッチに向かって飛んで来て 木のてっぺんの方の枝に止まった。
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リスたちはそれに気付いて 慌てて 鴉から見えないように隠れて 木の幹の上で 緊張している。
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なるほど…鴉の奴 目敏く 向こうからリスを見つけて やってきたと云う訳だ。
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そりゃあ 色恋沙汰に浮かれている場合じゃあない ちゃネ!
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今日は なんとか捕まらずに 済んだ。
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これから 青葉が繁って来れば もっと 落ち着いて いちゃつく事が できるようになる… だろう。
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そして次は 子育ての季節が 始まる。
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 ………
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【1.ゆめの森のカッパ 】

1.ゆめの森のカッパ 2007年月日
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【 ゆめの森のカッパ 】
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高校の頃… 最初に読んだ小説が
芥川龍之介の短編だった。
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文庫本に有ったし
とにかく 薄くて読み易そうだったからだ(笑)
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その中にも確か「河童」という話があって…
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…河童の世界では 生まれてくる子供は

■【生まれてきたいか… 否か】
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…を 本人の意志に因って決められるような話などが 書かれていたように思うけど
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芥川が スケッチした河童の絵などが .
やたら不気味な感じだったりしたので その頃は
【河童の世界】は 暗いイメージだったように思えた。
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 …………
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子供たちが まだ 小さいころは
よく 名取川に行って 遊んでいた。
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あの日も ちいさなYを連れて
いつものように 川に行った。
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俺は 河原で遊んでるYを見ながら 一服していたら
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Yが 誰かと話してるように見えた…?
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相手は 高く茂った葦の
向こう側にいるようで
俺からは 見えなかったが
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「 …俺たちの他にも誰か 居たんだな… 」…と 思った だけだった。
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Yは すぐにコッチに戻ってきたので…
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「 そろそろ うちに行こうか♪ 」と言って 車に乗って走り出した。
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車の中で…
「 Yくん…さっき 誰かと話してたろ? 誰がいたんだ? 」
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…と 運転しながら
俺はYに訊いてみた。
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「 うん♪ カッパさんだよ…♪ 」
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…と Yは…こともなげに
答えたのだ!!!♪
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それまで 俺は
カッパは 実在しない動物だと思っていた。
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それが ふつう…だと思う?(笑)。
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なのに このヤロウ
よりによって
こんな正直者のオヤジに
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とんでもネェー事を 吹きやがるもんだ!!!…とは 思ったが
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  ……
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なんとかボケ返さないと
親の面目が立たねぇーと
…思い直して
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「 ほほぉ~ それで なんだって?♪ 」
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… と そ知らぬ素振りで
訊き返してみた。
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 ………
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「 おなかが すいたから… 日向ぼっこしてるんだって♪ 」
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まぁ~~た また
【(わけがわからん)訳我若乱…攻撃(笑) 】が来た♪
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し…しかし 俺は
オトナとして あくまでも
【 冷静沈着 】に…
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俺:「 ふ~ん でも なんで…
お腹すいたら 日向ぼっこ なんだ…? 」
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Y:「 光合成っていう奴だよ…。緑色の葉っぱ…は お日様の光を浴びて 栄養を作ってるんだって…。
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とうちゃんが 言ってたじゃないか…。カッパさんも そうなんだって…よ♪
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河童さんの緑色は葉緑素なんだって…それで…背中の甲羅にお日様を いっぱい浴びて 栄養を作ってるんだって。
…そう 教えてくれたんだよ! 」
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  ……
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ガキながら なんとも 手ごわい奴だ…と一瞬「 お前な…嘘を言っちゃいけないぞ 」と 注意しようかとも 思ったけど…
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ココは ひとまず…
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「 あぁ…なんだ そうだったのか… 」と
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オトナとして …俺は
穏便に 事を済ませてやった(笑)
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子育てをしてると いろんなことがある。
子供たちは 神様や天使 悪魔や妖怪とだって友達になれて 話ができるほど…
素直で 正直な…まだ汚れ・傷ついてはいない 真っ白い心を 未だ持ってるのだから…常識感覚で いちいち 目くじらを
立てていたら 身が 持たない… (笑)。
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【 子供は 親を選べない 】のも
可愛そうだとは 思うが…
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【 親だって子 供を選べない】
… のだから
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お互い様…だと思う(笑)???♪
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ん…まてよ?
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【 子供は 親を育てる事は できない 】… が
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【 親は 子供を育てる事が できる 】

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ふむ ふふふ … なんとなく
親のほうが 有利な 気がする…(笑)♪
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  ………
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あの頃から 俺は
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なんとも 冷静沈着な
立派なオトナ だったなぁ~
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…などと
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われながら 感心してしまう…。
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…(笑)。
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【 18.つっつき先生伝説 】 潔き命 見つめて 生きていた …

■ ゆめの森動物記07-
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18.先生 2007年11月04日10:14
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■18. 先生 ■■
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俺は 大学どころか高校さえ
51歳になって やっとのことで卒業できた… 無知蒙昧の輩だ。
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だが うちの子供たちの【 かーちゃん 】…つまり俺が一緒に子供を作り 子育てをした元妻・元パートナーは 教育大学を卒業して 教師を仕事にしている…
いわゆる「先生」だった。
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資格で言うと 小中高ぐらいの子供たちに★教えて★…もいい資格を持っているらしい。
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学校などの職場で 給料・報酬を貰って 他人の子供たちを教える事には そんな風に 車の運転や 病気の診断・治療など 様々な専門職同様に 公による【免許・資格 】が必要なようだが
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★自分の子供たちに教える資格★…は 親だったら誰にでもあるものなのだろうか? …などと 思ったりもする…?(笑)
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昨日ネットで次のような記事を見かけた。
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これでも新聞記者? 記者の資質を疑う朝日記事 http://kamitsuki.news.coocan.jp/07B/koredemoshinbukisya.htm □2007/11/02■
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最近の朝日新聞に載った二つの記事を紹介する。いずれも記者としての適性を疑うに十分な内容であるが、さらにそれを校正し掲載した新聞社の能力にも疑問を投げかけるものである。
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 ひとつは10月30日に載った、養老孟司氏が神奈川県立秦野高校1年3組の
総合学習の時間に教壇に立った話である。
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☆この記事の筆者によれば…↓となるらしい?
「…養老氏の知識や理解、とくに言葉の定義は ↓拙論でも書いたように
( …http://homepage2.nifty.com/kamitsuki/baka.htm ) 以前から問題が多く、教えるという行為は自粛してほしいと思う。…」
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養老孟司…でさえ
「教えるという行為は自粛してほしい…」
…と言われてしまうのだったら
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俺たち無知蒙昧は 子供たちに対して口を開くことさえ 許されないのではないか? …などとも 思えてしまったりする(笑)
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どんな親でも 自分の子供たちには正しいことを 教えてやりたいと 誰だって思うだろう?とは思うが  でも
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■ 何が正しいことなのだろう?
となると 案外 解らなくなる。
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暮らしの基本的なこと 例えば 食べ物のことでも…。
ムスリムでは豚肉を食べてはいけないが 牛や鶏はいい…らしい?
ヒンドゥーでは 牛はダメで…
仏教では 殺生そのものが ダメ?
精進料理に 肉はダメだけど 魚介類はOK?
ベジタリアンは どこまでがOKなのか?
塩や砂糖は 添加物…化学物質ではないのか?…などなど
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俺には さっぱり わからない。
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以前なにかのTVで 山の動物たち…サルやシカなどが 廃屋の床下の土を舐めに来ているシーンを観たが… 動物も 健康のために…サプリメントを取っていたりするのかもしれない。 などと思ったが
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そうしたことは 親や仲間たちと 一緒に行動し 暮してゆく中で 学んでゆくものなのだろうと思う。
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親が アル中だと子供がアル中になる確率が高いのも…そうしたことなのだろうと思う。
(それに 親子は 当然 体質や気質も 似ているのだろうし…)
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先生…先に生まれた者?
先を生きていた者?
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先生と呼ばれるほどのバカじゃない。 ともいうし…
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ともあれ 54歳にもなると…
どこにいっても 自分より年下の奴が多くなる。
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お手本にしたいような先生
★先行く人★も 少なくなってゆく。
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俺の人生の中で先生と呼べる人は
誰だったんだろう?
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 ……
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あきうに引っ越してきた次の年(1983)…美学校仲間のS君夫婦が 横浜から引っ越してきた。
ある日 S君が「いい名古屋コーチン売ってたぞ!」…と言うので
一緒に観に行って まだ若い番(つがい)を買ってきた。
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その後すぐに桂チャボも飼い 庭に放し飼いにしていた。
コーチンのオスは 成長して
見事に 奇麗で 逞しい雄鶏になって ニワトリ家族のボスになった。
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次の年あたりに今度は 仔犬と仔猫を いっしょに飼い始めた。
外で遊ばせて観ていると 犬猫にエサをやると… そのコーチンの雄鶏が その仔犬仔猫たちの餌を食いに来る。
お食事中の仔犬仔猫 まだ子供だ。
雄鶏に つんつんと突っつかれて あえなくその場を譲ることになる。
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雄鶏の突っつきは別に怪我するほどでもなく 仔犬たちも おとなしく引き下がって大した問題でも なかったのだが そのころ3歳だった長男Y君は雄鶏が弱いものいじめをしているのが どうしても 許せないらしくて…
現場を 発見すると…
「コラー!」っと… 棒キレをもって雄鶏退治をしていた。
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そして いつしか Y君は雄鶏を
「つっつき屋」と 呼ぶようになっていた。
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そんな ある日 Y君が俺の所に 駆け寄ってきて 手を見せた。
見ると 握った右のこぶしの ちょうど真中辺り… 確か薬指だったと思うが そこから血が出ている。
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訳を訊くとYは 泣くわけでもなく
少しうつむいて 淡々と語った。
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「つっつき」と 相対峙して
奴の飛び蹴りに 正拳衝きで対抗したところ まともに 奴の蹴爪を食らってしまった…という事らしかった。
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俺は…
「 目をやられたら危ないから…気をつけろよ! 」
…と 諭して 手当てをしてやった。
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 ……
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次の朝 Yと庭に出て なにげなく遊んでいると 向こうから
「つっつき屋」が やってきた。
そして Yの近くまできた時…
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Yは 奴に向かって おもむろに かしこまって 直立不動になり
そして 頭を深々と下げて こう言った。
「 つっつき先生! おはようございます! 」
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 ……
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う~む どうも… あの一撃で
いままで舐めてかかっていた つっつき屋の 凄さを知り
今後は 態度を改めて接しようと 決意したようだった。
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なにはともあれ…
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それ以来 「つっつき屋」は…
うちの家族の中では
「つっつき先生」と呼ばれるようになり…
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一目置かれる存在となっていった。
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 ……
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19.伝説  … 命がけ …
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命を賭けて…守るべきもの。
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レスキューの仕事などを見ていて
いつも感心する。自分自身の 身の危険を冒しながらも 人命救助に向かう姿には 多くのことを考えさせられる。
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災害 遭難 事故 etc.…
現実の中には 多くの危険が潜んでいる。どこで誰が どんな状況で 
遭遇するかわからない 危機的状況。そうした状況を想定して
日々訓練に励んでいるプロフェッショナルがいる。
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家庭を作り 子育てをしている間
自分の家族を守る 責任の重さを いつも感じていたように思う。
あらゆる状況に 自分は 本当に適切に 対応・対処できるだろうか? などと…思いながら。
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そんな中で あっという間に 25年過ぎてしまった。すでに結果論的にしか語れない過去の事になった。
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子供たちは 家庭は 家族は
いま どうなのだろう
なにが あり なにが 足りないのか?
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自分は一生懸命やったと言えるのだろうか?
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本当に 命がけで家庭を家族を
守り抜いてきたと言えるのだろうか?…などと。いろんな事を思う。
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 ……
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…つっつき先生…の事は うちの家族の中では
「つっつき伝説」として… いまなお 語り継がれている。
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なぜかといえば彼の最後が あまりにも 壮絶で
忘れがたいものだったからだ。
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彼は 最期まで 決して ひるむことなく家族を守って 犬と闘って 死んだのだ。
… それも2頭の 猟犬と …
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いや正確に言えば 殺されはしなかった… 最後の最後まで 戦い抜いて… 生きていた。
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しかも 2度も…なのだ。
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まさに… 彼は
命がけで 家族を守り抜いたのだ。
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1回目の時は もうダメだろうと思うほどやられていたが…奇跡的に 復活した。しかし 2度目のときは ダメだった。
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 ……
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ある朝 鶏たちの けたたましい鳴き声で 俺は 外に飛び出した。
見ると セッターらしき猟犬が2頭 逃げ去っていくのが見えた。
放されていた近所の猟犬だという事は直ぐにわかった。
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しかし すでに鶏たちは1羽も居ない…。あの頃は 庭の向こうは まだ杉苗を植え付けたばかりで
鶏が隠れてしまうぐらいのブッシュになっていた。
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しばらくすると チャボの雄が無傷で元気に出てきた。そうして 少しずつ 雌鳥や雛鳥たちも みんな無事で藪から出てきた。俺は ホッとした… キット みんな やぶに隠れて 難を逃れたのだろう…と思えたからだ。
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しかし いつまで待っても つっつき先生が出てこない。
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俺の頭に 不安がよぎった。
そう 誰もやられないわけはないのだ。犬は鼻が利く 鶏が藪に隠れたって 鼻で見つけてしまう筈だ。
みんなが無事だという事は…
その間 誰かが 犬の注意を惹きつけ続けていたということだ。
…と 改めて つっつきひとりだけ出てこない理由に思い当たり
あわてて藪の中を探し回っていたら…出てきた 生きていたのだ!
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しかし 羽根はボロボロアチコチ血が出て 無残な姿で 足つきもよろよろとやっとの事で歩いて出てきたのだが まさに力尽きたかのように バッタリと 倒れてしまった。
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 ……
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19.伝説 … 命がけ …
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 復活
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 ……
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彼は 力つきて 目を閉じ 息も絶え絶えに…ぐったりして倒れたままだった。俺は 抱き上げて 水道のところへ連れて行って 傷ついた顔の 血を洗ってやり 口を開けて 少し水を飲ませてやり 日当たりに横たえてやった。
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つっつき先生は 目を閉じて 顔を上げることさえなく ぐったりとして ただ息をしているだけだった。
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次の日も 様態は変わらなかった。
口から 水を飲ませたり ミミズをやったりしていたが…
…どうみても もうダメだろうという感じに見えた。
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たまたま その日は 知人から
廃鶏をもらうことになっていたので 受け取りに行った。
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帰ってきて その雌鳥を小屋に放したのだが…その雌鳥を 見た途端に …なんと それまで 死にそうになって ぐったりとしていた「つっつき先生」が なんと すっくと…立ち上がった!のだ。
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そして 真っ直ぐに雌鳥の所に行って 交尾した…。
そのあまりの変貌は 奇跡と言うほかないように思えた。
雄鳥の… 生殖本能のスイッチ …なのだろうか?
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とにかく その瞬間から つっつき先生は元気を取り戻して行き…
数日後には 元のように ニワトリ家族のボスとして しっかりと 復活していった。
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いのちの 驚きと 不可解には いつも 圧倒される。
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現代科学の 専門的知識からみれば 説明できることでも
シロウトの俺からみれば… 奇跡的なこと
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生き物が 生きていること そのこと自体が 不思議な事にさえ思える。
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ところが そこで終りではなかった。
そのあと 少しして また猟犬がやって来たのだ。
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そして その時も つっつき先生は 同じように 勇敢に闘い抜き 家族を守り通した。
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そして 同じように 力つき 倒れ伏した。しかし 奇蹟は2度は起こらなかった。
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つっつき先生は ついに そのまま静かに 眠るように死んでいった。
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 ……
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彼は なぜ なんのために…
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逃げようともせずに 命がけで 闘い抜いたのか
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誰の目から見ても 明らかだと思えた。
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コイツは ホントーに 凄い奴だと 俺にも思えた。
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いのちに学ぶことは 計り知れない。
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人間であれ ニワトリであれ 同じように 生きている。
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そんな風に思えた
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… つっつき先生の生き様 …
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 … 伝説 …
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それは 1985年の夏の
あきうゆ めの森アトリエ雲さんちの
…【 ほんとの話 】でした。
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  ………
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